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鍼はどのような病気や症状に効くのか? > ギックリ腰(主に腰筋捻挫)について

ギックリ腰(主に腰筋捻挫)について (2015.04.23)
改訂について  今回は2010年に作りました治療家のためのテキストを一般用に分かりやすく作りました。  読者の皆さまからのご質問・ご批判をメールでお待ちします。 #### 定義  ギックリ腰とは、体を動かすことにより急に起きる外傷性腰痛の一般世間で用いられている言葉であります。  (体を急に動かした時に起こった急性の腰の痛み) #### ギックリ腰の分類とその特徴 1. ギックリ腰はどんな病気や症状にあたるかを書いてみます。   腰筋の筋膜のいたみ   椎間板ヘルニア、背骨の間の関節のネンザ   背骨の周りの靱帯のネンザや断裂   腰の横と後ろの骨の間の関節(仙腸関節)のネンザ   腰椎骨折(主に2個ぐらいの、背骨の横の枝に二つ同時に起こることが多い)など。 2. 鍼治療の時に必要な分類  1) 床に立った姿勢で体を後ろにそらした時に腰や足が痛いもの(以下、分類2の1と言います)  2) 2の1と同じ立った姿勢で腰を前に曲げた時に、左右どちらかに痛みを感じるもの(以下分類2の2と言います) #### 分類2の1の特徴 イ. 腫れや筋の過緊張がどちらかというと腰の真ん中寄りで、脊中部及びその近くに現れます。 ロ. 例外を除いては、軽いものでも5,6回、寝返りもできないようなものは3週間ぐらい、時として4週間、治療の日数を要することがあります。 #### 分類2の2の特徴 イ. 腰部の筋膜や筋のネンザが殆どです。 ロ. 筋の腫れや異常な緊張が、左右いずれかの片側にみられることが多い。 ハ. 治療回数は軽いものでは1回、寝返りができないものでも7~10回ぐらいと考えることができます。 ニ. 腰部の治療後、同側の下腿後側の緊張を緩める鍼、又は筋のストレッチを行うと、更に効果が高くなります。(この分類2の2の場合は、ふくらはぎの揉みほぐしとストレッチだけでも治ります。) #### ギックリ腰が起こる背景  下に書きますことが続く時に、つまり腰部が突っ張っている時に、急激な運動に腰筋などがついて行けなくなって、本症が起こることが殆どです。 1. 宴会や接客が続くなど、胃腸が無理をした原因で腰が突っ張っている、その後の数日間。 2. 風邪気味で腰部にこりや突っ張りを起こしている時。 3. いつもと違った作業をした後の、腰が突っ張っている数日間。 #### 鍼治療はどのようにするか 1. まず、胃腸の具合を整えるために、おなかと背中にはりを行います。 2. 手と足とおなかのはりで自律神経を整えて身体を元気にします。 3. 悪い側の足の付け根のリンパ節にはりをして、腰の腫れをひかせます。 4. 腰の腫れの部にはりをして、腫れや緊張をとります。 5. 分類2の2の場合は、悪い側のふくらはぎの揉みほぐしを行い、腰の痛みをさらにとります。 #### 温灸  分類2の1、つまり腰を後ろにそらして痛い方のギックリ腰に行います。これまでこの治りが遅い分類2の1のギックリ腰も温灸をやるようになってから治りが大分早くなりました。  当院でいう温灸は電器で温めた道具を体に当てて軽く熱さを感じる程度の刺激をするもので、やけどが起こることも温灸をした部にかたが付くこともありません。 #### ギックリ腰で筋肉痛が残った時の治療  ギックリ腰は治ったが、起床時に、あるいは同じ姿勢を続けた後、次の姿勢に移ろうとする時に腰部のこわばりやそのための運動痛(動かす時の痛み)を感じることを訴えられることがあります。  この場合はギックリ腰、つまりネンザのための内部の怪我は治っているのですが、腰の筋肉に炎症が残っていて、そこからの浸出液が溜まって突っ張りや運動痛を感じるのだから、毎日のギックリ腰の治療は終わって、週2回の筋肉痛の治療に切り替えて治療を続けると治るということを患者さんに説明して治療を続けます。 #### 治療全般における注意点 イ. 治療経過が長引きすぎるものは患者さんと相談して外科に移るかどうかを決めます。 ロ. 分類2の1の重傷の場合には、しばしば排便が数日ないことがあります。これは、治療の経過が順調な場合には腰が良くなるにつれて良くなるので心配はいりません。しかし排尿がない場合には、躊躇せずに外科への紹介をします。 ハ. 分類2の2の特徴は、前記のように速やかに治癒することでありますが、患者さんの訴えでギックリ腰というものの中に、筋肉痛で治癒が遅いものがあります。この場合は毎日の治療から週2回の治療に切り替えて、この筋肉痛を取ると治ります。  このように身体は色々な条件が複雑に絡み合っておりますので、鍼師は油断なく経過を観察することに努めております。 ニ. 次のことは、避けるようにするよう話しております。 1. 入浴は、軽いものは1日、重いものは10日ぐらい避ける。 2. 座った姿勢はたとえ5分間でも悪いので、なるべくとらないようにする。 3. 電気治療・けん引その他、物理的刺激は急性期(起こってから数日間)は絶対避けるべきだと考えております。 4. アルコールは風呂と同じ期間避ける。 5. 湿布薬を希望される人には、風呂を避ける期間は冷たいものを使い、それを過ぎれば温湿布をする。 これでギックリ腰の説明は終わります。 これからは時間をみて、当院で行っております色々な病気や症状について書いてまいります。

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